これだけは知っておきたい
伊予の代表的な方言10語

数ある伊予弁の中でも小説に用いられたりなどで知名度が高く日常で頻繁に使われる代表的な方言を紹介します。これらを使いこなせれば愛媛フリークをPRできるかも。
いんでこうわい
南予 中予 東予
「去んで来る」こと。ワイは終助詞。「帰ります」の別れのことば。「きょうのところは、ひとまず帰りますが、また来ます」の意。別れ難い、腰を上げにくい思いが尾を引いている。出かけるときは「いてこうわい」で「行って来ます」、戻るときは「もんてこうわい」。行くも帰るも「こう(来)わい」になる。
【例】
「ほんじゃインデコーワイ」
「ほうけ、インデクルケ、またおいでや」
…「それじゃ帰ります」「そうですか、帰りますか」



おしまいたか
南予 中予 東予
夜の挨拶ことば「こんばんわ」。中予の在郷ことばとして、今もしっかり生きている。今日一日の仕事が段取り良く仕舞いがつきましたか、の意。「お疲れさま」といったいたわりの心がこもった言葉。ムラ社会共同体のぬくもりが伝わってくる。朝の挨拶は「オヒナリマシタカ」。「御日成る」で朝起きを意味する丁寧語。
【例】
「オシマイタカ」
「はいはいそちらさまもオシマイタカナモシ」
…「こんばんわ」「そちらさまもこんばんわ」



おまい・あし
南予 中予 東予
「梅ヶ香やおまいとあしの子規眞之」酒井黙禅の句。司馬遼太郎の『坂の上の雲』の世界である。「御前と儂」はオマエとワシだが、これがオマイとアシになる。「君と僕」では軽っぽく「貴様と俺」では大人っぽすぎる。オマイとアシと呼び合ってこそ豊饒で奔放な松山言葉の世界が子規と真之の仲をつなぐのである。
【例】
「そがいめんどいこというなや、オマイとアシの仲じゃろが」
…「そんなに面倒なことを言わないでよ、あなたとわたしの仲じゃないですか」



かやる
南予 中予 東予
覆返る、ひっくり返ることを「カヤル」という。「カエル」が訛ったもの。東・中予では曲がること、倒れることをいう。鶏の卵がふ化しても、船が転覆しても「カヤッた」というからややこしい。
【例】
「その先のカドを左ィカヤッてお行きたら三軒目がそこじゃけれ、すぐおわかりらいなもし」
…その家は左折して三軒目ですからすぐお分かりになるでしょう

「台風が来よるけん、タテゾエをしゃんとしとかんとカヤッてしまうんぞ」
…支柱をしっかりしておかないと台風で倒されてしまうよ



しと・ひち
南予 中予 東予
松山では「ヒ」と「シ」がひっくり返る。人間は霊長類ヒト科の動物、が、松山にはヒトはいない。いるのは『シト』である。シトがシトリ合点して、シトリ歩きしながらシトリ占めしている不思議なクニがわが町・マッチャマ。数の初めはヒトツだが、シトゥリ、フタァリと数える。数字の七もシチではなくてヒチになる。質屋はヒチヤ。
【例】
「あのシト、ようヒチ屋かよいしとるのう」
「あのシトでヒチ人目じゃ」
…「あの人、よく質屋に通っているなぁ」「あの人で七人目ですね」



なもし
南予 中予 東予
『坊っちゃん』のおかげで松山言葉の代表になった。ナは念押しの終助詞、モシは申しで敬意がこもる。マウシ→モウシ→モーシ→モシと変化したとする説が有力。一方、万葉集で散見するナモに強意のシが結合したとする説もある。『坊っちゃん』はナ・モシの二語で使っているが、両語は融合していて使用上の区別はない。丁寧語だから同輩や目下の人には使われない。東予でノウシ、ノンシ、南予でナアシ、ナシ…となる。
【例】
「知っとるぞナモシ」
「お達者でなによりですナモシ」
…「ご存じですか?」「お達者にお暮らしのようでなによりですねぇ」



なんしに
南予 中予 東予
相手の主張を強く打ち消すとき使われる副詞。いいえ、それは違いますの意。相手の話をさえぎるカタチで全否定する。同じ意味で「イイエノコトよ」がある。どちらも相手の言い分をピシャリと押し返す力が込められる。普通は「ホジャケンドなぁ」「ソジャケンドなぁ」(そう言われますけれど…)とまず相手をたててから自説を述べるが「ナンシニ」は独立して使われる。伊予言葉は罵声・侮辱語を除くと一般的にやさしい。そんな中で珍しくキツイ言葉。
【例】
「ナンシニ、そちゃちがうぞな」
…「何を言っている!それは全く違います」



はせだ
南予 中予 東予
仲間ハズレ、除け者、はじき出された余り物。「端」と同意。布きれをハゼ布、田の端をハゼという。松山に残る固有の言葉。類縁言葉と考えられるものに南予の「はぜのけ」、東予の「はせぬけ」がある。ともに「いびりだす」という語感が強い。ムラハチブ(ムレハチブ)に近い。今風にいうなら…「シカト」。
【例】
「あの子ぎりがハセダにされて泣いとるが。みんな仲ようせいよ」
…「あの子ばっかりが仲間はずれにされて泣いてるじゃないか。みんなで仲良くしなさいよ」
「おまいは悪さが過ぎるけん、いっつもハセダにされるんよ」
…「おまえはイタズラをしすぎるから、いつものけ者にされてしまうのよ」



まがる
南予 中予 東予
共通語で「曲る」。まっすぐでないことをいう。中予では「触る」「邪魔になる」の意。もてあそぶ、いじることを「弄(いら)う」というが、「それイラウな(イロウな)」とマガルとほとんど同意。さまたげ、さわりの意も「マガル」になる。
【例】
「それメゲやすいけん、マガラれんいうとったのに…」
…「それはこわれやすいからさわるなといっておいたのに…」

「それ片づけとけ、マガッテしょうがない」
…「それを片づけておきなさい、じゃまになってしかたがない」



よもだ
南予 中予 東予
とぼける、しらをきる、しらばっくれる、またはその人の意。無責任な言動をして、信頼がおけない人(特に男性)の蔑称。度を過ぎると「クソヨモダ」「オオヨモダ」になる。ことの後先は計算にない存在で、怠け者の意を含む。
【例】
「ヨモダを言うな」
…「無責任なことを言うな」「とぼけるな」

「ヨモダをオシナ」
…「無責任なことをするな」「とぼけたことするな」
「ヨモヨモしられん」
「無責任なことをするな」「とぼけたことするな」
「ええ年してあのヨモクレにはアズラされるのう」
…「いい年になってもあの無責任男には手を焼かされる」
「そがいにヨモクレルもんじゃないゼ」
…「そんなに訳のわからないことをくどくどいうな」




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